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6 2006 東日本チャレンジカップ 第2戦  〜 決勝-2 〜



START

(写真:Yukiopapa-san)


13時20分。
東日本チャレンジカップ第2戦の決勝レースが今始まった。
スタートはうまく行ったようだ。
爆音を上げて1コーナーに飛び込んでいった。



(写真:Yukiopapa-san)





そしてT-FLATの前に、一群となって先頭集団が現れてきた。
1コーナーでインをとったのは、好スタートを切った#5川原選手。
若ちゃんは2位で駆け抜けていった。
僕がいるこの場所はフェンスで覆われているが、縦20cm×横30cmほど切り取られている。
プレスの人のためのものかと思っていたが、プレスの人はフェンスの中に入れるので、なにもこんな狭い穴から写さなくてもいいはずだ。
やはりマニアの人のために用意されたものだろうか。

混戦の第1コーナー


このフェンスの穴は、絶好の撮影ポイントであるのだが、如何せんサイズが小さい。
大きくカメラを振り回すとガツンとやってしまうことになる。
真横に来たところぐらいで止めないといけない。
しかも、その先のS字方面は柱で隠れてしまう。
そこで、三元中継の効果が現れるわけだ。
ここから先は、パドックの上からS字コーナー脇に撮影場所を移動した幸男パパさんにお任せすることになる。

S字コーナー

(写真:Yukiopapa-san)


S字コーナーサイドに三段脚立を立て、フェンスの上からほぼ正面の姿を400mmで狙う。
幸男パパさんの前に、#5川原選手、#74若ちゃんが一列になって現れた。
S字と言っても緩やかなカーブであり、ほとんど減速していないため、撮影は非常に困難。
ファインダーで捉え続けるだけでも大変なのだ。
ヘアピンをクリアするとダンロップコーナー。
そしてMCコーナーに向かう。
ここではツッチー隊長が待ち構えている。
午前中の予選と同様に、三元中継体制での実況だ。


MCコーナー

(写真:Tsuchy-san)
第2ヘアピンへ

(写真:Tsuchy-san)

MCコーナーから第2ヘアピンへ向かって行った。
2ヘアを過ぎると、バックストレッチ。そして最終コーナーを経て、メインストレート。
オープニングラップは#5川原選手。
若ちゃんは2位でコントロールラインを通過した。





オープニングラップは2位で通過




(写真:Yukiopapa-san)



(写真:Tsuchy-san)



(写真:Tsuchy-san)

予選と1、2位が入れ替わった格好だが、その差はごくわずか。
しかし、3位以下とはすでに差がつき始めている。
トリックスター青雷さん曰く「この2人だけ格が違う感じ」
まさにそのとおりだった。
トップの二人の差はほとんど変らないが、後続がついてこない。


(写真:Tsuchy-san)


20周もあるので、あえて無理に攻めなくても、チャンスを虎視眈々と狙いつづければよい。
そんな戦略だろうか。
僕としては、早くトップにたって逃げ切ってほしいと、素人的な発想をするわけだが、長年の勘と経験に基づく作戦があるのだろう。
昨年10月の筑波でのエリア第8戦で、津田一磨選手が川原選手を抜いたのも、ファイナルラップのことだ。
それまではタイヤを温存していたとのコメントだった。
今日のレースで、若ちゃんは、やや柔らかめのタイヤを選択しているそうで、あまり路面温度が上がるとマズイなあ・・・と言っていた。
今は天気がよく、太陽も高い。路面温度の上昇を考慮して、タイヤの負担を軽くしているのかもしれない。
それとも・・・
今年度の狙いはシリーズチャンピオンにある。
現在2位を走行中だが、3位以下は大きく離している。
このまま行けば、2位で17ポイントが獲得できることになる。
あえて無理をせず着実にポイントを重ねていくことも、シリーズチャンピオンのためには重要な戦略となるのだ。

昨年(2005年)の全日本選手権のST600クラスでは、安田毅史選手が、結局1勝も上げることが出来なかったがシリーズチャンピオンとなっている。
Team Green KAWASAKIの酒井選手は、ハマったときはものすごく速く、2回も優勝しているが、4回もリタイアしているためランキングとしては8位。
2位を3回、3位を2回など、コンスタントにポイントを稼いだ安田選手に軍配が上がったのだ。
長丁場の勝負における戦略も考えなくてはならない









(写真:Yukiopapa-san)




(写真:Tsuchy-san)

4周目に入った。
順位の変動が無いまま、レースの序盤が進行している。
二人の一騎打ちが続く。





First Corner


1位と2位の間はやや開いたり、次のコーナーではテール・トゥ・ノーズになっていたり。
息詰まる攻防が繰り広げられている。
どの周回で、どのコーナーで追い抜きを仕掛けるのか。
一瞬たりとも見逃せないぞ、これは。
見ているこっちが緊張のあまりカラダが硬くなる。
しかし、次の場所に移動しなくては・・・
5周目の第1コーナーをトップの2台が通過していったところで、
T-FLATは撮影場所を移動した。
「1分以内に必ず移動しなければ」
自転車に飛び乗り、猛ダッシュ!



Tail to Nose



S字コーナー

(写真:Yukiopapa-san)
巧みな切り替えし

(写真:Yukiopapa-san)


ヘアピンカーブへ

(写真:Yukiopapa-san)



6周目のヘアピンカーブ

(写真:Yukiopapa-san)


先ほどまでT-FLATのいた1コーナーの観戦場所からダンロップコーナーにかけては下り坂となっている。
自転車を漕ぎに漕いで、1分以内に移動することができた。
すかさずカメラを構えて、若ちゃんが来るのを待った。
昨年10月の筑波では、西日のため逆光となっていたが、今日はまだ日も高く逆光と言うほどではない。



Dunlop Corner




ダンロップコーナーからMCコーナーを通過していく姿を見送った。
そして腕時計を見ながら1分経過するのを待つ。
その間に後続のマシンが通過していった。
次に現れるときはトップに立っているかもしれないな。
そんな期待をしながら待っていた。

ここからは遠くに第1ヘアピンを望むことができ、ある程度の心の準備ができる。
トップを走る#5川原選手の白いCBR600RRが見えてきた。
しかし、その後ろにいるはずの赤いYZF-R6が見えない・・・
そのまま#5のマシンだけがダンロップコーナー通り過ぎていった。
どうしたんだろう。
アナウンスが聞こえてきた。
「第1コーナーで若松選手が転倒・・・」
うわーっ。
思わず叫び声を出してしまった。
転倒?
すぐ再スタートを切れたのか?
しかし、待っていても赤い74番のマシンは現れない。
リタイアか・・・
怪我は無いだろうか。
バイクのダメージはどうなんだろう。
いても立ってもいられず、第1コーナーに戻ることにした。

#18高杉選手 まだ12番手あたりか



#5川原選手だけしかいない






(写真:Yukiopapa-san)



(写真:Yukiopapa-san)

(写真:Yukiopapa-san)

若ちゃんは第1コーナー出口で転倒していた。
オフィシャルの人に手伝ってもらいながら、バイクをわきによせ、安全のため若ちゃんもガードレールの外に出た。
予選から好調で、レコードタイムでのポールポジションをとっていた。
決勝も、一つ順位を下げたが、いつでもトップを奪い返せる位置にいた。
少なくとも2位は確実だった。
それなのに・・・
そんな歯がゆさが感じられる姿だった。
第1コーナーに戻ったT-FLATだったが、フェンス越しに見える若ちゃんの姿を見て、近寄りがたくて離れて立っていた。
しかし、結果は結果として観戦記に残すべきだろうと思い、その姿を撮ろうとした。
ところが、シャッターが切れない。
バッテリーグリップの接触不良で、時々シャッターがおりないときがある。
そこでバッテリーを入替えたり、スイッチをON/OFFしたりするが、それでもカメラが動かない。
しまいには、電源をOFFにしても、なんと表示が消えない!
カメラが壊れた、と思った。


人が悲しんでいるところを写真に撮るのはよくない、とカメラが拒んだか。
そうとしか思えない、突然のトラブルだった。
違うんだ。惰性で撮っているわけじゃない。
この悔しさをばねに、シリーズの再スタートをきる。
そして、もう二度と転倒はしないと誓うためにも、今日のこの辛い結果は残しておくべきなんだ。
そう言い聞かせて、もう一度スイッチを入れた。
ようやくカメラが動いた。
若干のフィクションが入る観戦記なので、これ、作り話のようですが本当に本当の話です。
電源をオフにしてもカメラ上部の表示が消えないときは、本当に壊れたと思いました。
思えば、2004年10月の筑波ロードレース選手権の最終戦以来、1年半の間、10大会を見続けてきたカメラだ。
こいつもまた、若ちゃんやチームのみんなに魅せられてしまったのだろう。
でも、心配するな。
今日の悔しさは、次に絶対晴らしてくれる。
そう、今年はチャンピオンをとるために闘っているのだ。
去年も7月の富士以来、調子が上がったじゃないか。
今年もきっと・・・。






To be continued

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