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まだ少し時間があるので、チームの皆さんは雨の当たらないところで待機。
マシンの方は雨宿りができないため、ライダーが来るのを外で待っている。
予選トップの若ちゃんマシンは、ここでも先頭にいるが、撮影隊にとって、このことはとても助かる。 なんと、撮影隊が屋根のあるところから出ずに写真が撮れてしまうのだ。 いや、そういうことではなく、何と言っても、一眼レフを携えた謎の人物が、3人も揃って写真を撮りまくりだ。 他のチームから「なんじゃありゃ?」となるところだが、 「予選トップをとった選手なのだから、このぐらいの報道体制が組まれても不思議はない」という雰囲気になる(ハズだ)。 周りを気にせずに写真を撮ることができる。 応援する選手が強いというのは、こういうところでもメリットがある。 |
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こういうとき、レーサーは何を考えているのだろう |
ざわざわと、人の動きがあわただしくなってきた。 いよいよコースに移動する時間だ。 パドックにいるときの和やかムードは、もうそこにはない。 若ちゃんも、チームのメンバーも、ピリピリした空気に包まれている。 ちょっと近寄りがたい雰囲気。予選とは比べものにならない、この緊張感。 すっかり気を飲まれてしまった。しかし、ここでボーッとしているわけにはいかない。 撮影隊も移動して次の写真に備えなきゃ。 |
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若ちゃんの目には一点の迷いもない |
若ちゃんの視線は、常にコースを向いている |
ピットレーンに出てきた若ちゃんを、うさ公さんが撮影していた。 集中している様子はもちろん伝わっているのだが、撮り終えた写真を見たうさ公さんが、あることに気がついた。 「私の写真見て、気がついた?」 「何か、心霊写真でも写しちゃったんですか?」 「ちゃうわー」 (回し蹴り!) 「若ちゃんの目線!常にコースを見ているの。気づかなかった?」 なるほど。 さすが、細やかなところによく気がつく。(最近イジリすぎたため、フォローしてみたりする) |
そして、水しぶきを上げてコースへ出て行った。 ふう。 いよいよだ。 撮影隊の緊張も高まってくる。 ここで、協議の結果ツッチーさんが、第1コーナー出口の撮影スポットに向かうことになった。 うさ公さんと僕はパドック上で待機。 これが、レース観戦の3戦目にして、ついに達成された 2元中継体制 誕生の瞬間だった。 |
若ちゃんが戻ってくるのを待つチームメンバー |
グリッド上では、速やかに作業が進む。 |
現在、14:50。 本来であれば、決勝レース開始の時間だ。 今日は一日中雨であり、全体的に予定のプログラムは遅れている。 しかし、その場にいるときは時間の感覚はない。 撮影隊の緊張感は、ただひたすら高まっていく。 ドキドキ、ドキドキ 毎度のことながら、試合前の緊張感を共有できるこの感覚が、気持ちいいのだよね。 しかも、ちゃんとトイレにも行っといたから、安心。 |
残念ながら、ツッチーさんは違う場所にいるため 拍手を送ることができませんでしたが、気持ちは僕らと同じです。 |
「選手の紹介を行います」 コントロールタワーからの音声が流れる。 「ゼッケン74番 若松選手」 一番最初に呼ばれる、トップの選手。 「その選手の知り合いで〜す♪」 と言うことを周りにアピールしながら、パドックの上から拍手を送った。 ガッツポーズを見せる若ちゃん。 もう間もなくスタートだ。
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チームメンバーはピットに戻っていき、コースに残っているのは選手だけとなった。 ドクン、ドクン! ファインダーを覗く間も、心臓の音が高まっていく。 現在、14:55 フォーメーションラップのスタート。 |
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第1コーナーを過ぎて複合コーナーに向かう若ちゃん。 一周して戻れば、決勝レースのスタートだ。 |
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そして再びスターティンググリッドに各選手が帰ってきた。 エンジン音が更に高くなり、シグナルが変わる瞬間を待つ。 |
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14:57 START! |
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スタート時には急加速するため、勝手にタイヤが持ち上がってしまったのだと思っていた。 ところが、そうではないらしい。 |
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ツッチーリーダーの解説によると、こうだ。 静止状態からのスタートでは、タイヤを急回転させると空回りしてしまう。 その結果、うまく動力を伝えられないことになる。 特に、雨で路面が濡れていればなおさらだ。 そこで、前輪をわずかに持ち上げることで重心を後輪に移し、摩擦係数を高めるのだ。 しかし、上げすぎても不安定になる(要するにひっくり返りそうになる)。 そうなると、元に戻すために減速しなくてはならない。 微妙な高さを、スピードに乗り切るまでキープしなくてはならないため、高い技術を必要とする。 |
という解説は、後に聞いたことである。
瞬く間に、ホームストレートを通過していった。 そして、各選手が団子状態で第1コーナーに殺到していった。 |
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ここでカメラが切り替わり、第1コーナーからツッチーさんの報告です。 第1コーナーに殺到してきた選手たち。 むむ・・ インに入られたか? |
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再び、パドックの上からの中継です。
う〜む、ゼッケン5番が前に出ている。 年間ランキングで、若ちゃんに次いで現在第2位の選手である。 油断できない相手だ。 しかし、カーブの多いテクニカルコースであるこの筑波サーキットは、若ちゃんにとって、庭のようなものだ。 抜き返す場所は、いくらでもある。 |
来た! 最初に帰ってきたのは、やっぱり若ちゃんだった。 Opening Lapをとったぞ。 |
ホームストレートを疾走する若ちゃん |
圧倒的な速さで駆け抜けていく |
快調に周回を重ねていく。 2位との差はどんどん開いてきた。 いや、すごい! 圧倒的な差だね。 このまま行けば、優勝だ。 しかも、圧勝だ! |
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順調に周回を重ねている。 スゴイ、スゴイ、スゴイ! 2位以下とは、かなりの差がついているし、縮まる雰囲気がない。 |
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パドックの上からは、第1ヘアピンから向こうは、ほとんど見えない。 1分ほどでコースを1週するが、ここ(パドックの上)から若ちゃんが見えている時間は、20秒もないはずだ。 今日は大丈夫だよね、序盤でこれだけ差がついているから。 そうは思っていても、やっぱり不安はある。 「・・・転倒した模様です」 ん?なに? 放送が良く聞こえない。誰か転倒したのか? 一瞬、胸が詰まるような感覚。 しかし、最終コーナーを立ち上がってくる赤いマシンが、すぐに視界に入ってきた。 大丈夫と思っていたけど、ほっとした。 |
若ちゃんの後ろに赤いフラッグが見える |
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でも、赤い旗が振られている。 赤旗って、何の意味だっけ? 「ツッチーさん、どういうことですか?」 と振り返っても、2元中継に出かけてしまっているのでここにはいない。 何なんだろう。 若ちゃんは、完全に減速している。 その視線の先は、コントロールタワー やはり赤い旗だ・・・ 途切れ途切れに、放送が聞こえてきた。 「第1ヘアピンで、・・・が転倒し、・・・路面を清掃する必要があり・・・」 「・・・レースの続行は不能と判断されることから・・・」 「・・・本レースは、中止となります。なお、・・・」 「繰り返します、」 |
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何が起きたのだ? |
「本レースは、中止となります。」
え?
「レースは、規定の周回に達していないため、完全にやり直しとなります。」
「20分後に、完全にやり直しのレーススタートとします。その間、ガソリンの・・・」
ちょっ。 ちょまっ。 ちょ待てよ!
(キムタクの真似をするホリのように、声に出して読んでみてください)
トップなんだぞ。それも、ダントツなんだぞ。
どういうことだよ。
このとき、若ちゃんの視線は、どこへ向けられていたのだろう・・・
いずれにしても、20分後に仕切りなおしだ。
大丈夫、もう一回やったって、トップになるんだから。
露天商さんの予言もあることだし・・・
つづく・・・
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再び予告を守れなくてごめんなさい。次回、いよいよ2004年の最終回!
と思ったけど、もう少し余韻に浸りたい管理人は、ツッチーさんの勧めもあり、延長戦を決めました。
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