2004 筑波ロードレース選手権 シリーズ第6戦 spectator

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まだ少し時間があるので、チームの皆さんは雨の当たらないところで待機。

マシンの方は雨宿りができないため、ライダーが来るのを外で待っている。



予選トップの若ちゃんマシンは、ここでも先頭にいるが、撮影隊にとって、このことはとても助かる。

なんと、撮影隊が屋根のあるところから出ずに写真が撮れてしまうのだ。

いや、そういうことではなく、何と言っても、一眼レフを携えた謎の人物が、3人も揃って写真を撮りまくりだ。

他のチームから「なんじゃありゃ?」となるところだが、

「予選トップをとった選手なのだから、このぐらいの報道体制が組まれても不思議はない」

という雰囲気になる(ハズだ)。

周りを気にせずに写真を撮ることができる。

応援する選手が強いというのは、こういうところでもメリットがある。

こういうとき、レーサーは何を考えているのだろう


ざわざわと、人の動きがあわただしくなってきた。

いよいよコースに移動する時間だ。

パドックにいるときの和やかムードは、もうそこにはない。

若ちゃんも、チームのメンバーも、ピリピリした空気に包まれている。

ちょっと近寄りがたい雰囲気。

予選とは比べものにならない、この緊張感。

すっかり気を飲まれてしまった。

しかし、ここでボーッとしているわけにはいかない。

撮影隊も移動して次の写真に備えなきゃ。






若ちゃんの目には一点の迷いもない



若ちゃんの視線は、常にコースを向いている


ピットレーンに出てきた若ちゃんを、うさ公さんが撮影していた。

集中している様子はもちろん伝わっているのだが、撮り終えた写真を見たうさ公さんが、あることに気がついた。

「私の写真見て、気がついた?」

「何か、心霊写真でも写しちゃったんですか?」

「ちゃうわー」 (回し蹴り!)

「若ちゃんの目線!常にコースを見ているの。気づかなかった?」

なるほど。

さすが、細やかなところによく気がつく。
(最近イジリすぎたため、フォローしてみたりする)


そして、水しぶきを上げてコースへ出て行った。

ふう。

いよいよだ。

撮影隊の緊張も高まってくる。

ここで、協議の結果ツッチーさんが、第1コーナー出口の撮影スポットに向かうことになった。

うさ公さんと僕はパドック上で待機。

これが、レース観戦の3戦目にして、ついに達成された

2元中継体制

誕生の瞬間だった。




若ちゃんが戻ってくるのを待つチームメンバー

グリッド上では、速やかに作業が進む。

現在、14:50。

本来であれば、決勝レース開始の時間だ。

今日は一日中雨であり、全体的に予定のプログラムは遅れている。

しかし、その場にいるときは時間の感覚はない。

撮影隊の緊張感は、ただひたすら高まっていく。


ドキドキ、ドキドキ


毎度のことながら、試合前の緊張感を共有できるこの感覚が、気持ちいいのだよね。

しかも、ちゃんとトイレにも行っといたから、安心。



残念ながら、ツッチーさんは違う場所にいるため
拍手を送ることができませんでしたが、気持ちは僕らと同じです。
「選手の紹介を行います」

コントロールタワーからの音声が流れる。

「ゼッケン74番 若松選手」

一番最初に呼ばれる、トップの選手。

「その選手の知り合いで〜す♪」

と言うことを周りにアピールしながら、パドックの上から拍手を送った。

ガッツポーズを見せる若ちゃん。

もう間もなくスタートだ。

今回もあまり出てきません。






チームメンバーはピットに戻っていき、コースに残っているのは選手だけとなった。

ドクン、ドクン!

ファインダーを覗く間も、心臓の音が高まっていく。

現在、14:55

フォーメーションラップのスタート。

第1コーナーを過ぎて複合コーナーに向かう若ちゃん。
一周して戻れば、決勝レースのスタートだ。


そして再びスターティンググリッドに各選手が帰ってきた。

エンジン音が更に高くなり、シグナルが変わる瞬間を待つ。


14:57  START!



スタート時には急加速するため、勝手にタイヤが持ち上がってしまったのだと思っていた。

ところが、そうではないらしい。

ツッチーリーダーの解説によると、こうだ。

静止状態からのスタートでは、タイヤを急回転させると空回りしてしまう。

その結果、うまく動力を伝えられないことになる。

特に、雨で路面が濡れていればなおさらだ。

そこで、前輪をわずかに持ち上げることで重心を後輪に移し、摩擦係数を高めるのだ。

しかし、上げすぎても不安定になる(要するにひっくり返りそうになる)。

そうなると、元に戻すために減速しなくてはならない。

微妙な高さを、スピードに乗り切るまでキープしなくてはならないため、高い技術を必要とする。



という解説は、後に聞いたことである。

瞬く間に、ホームストレートを通過していった。

そして、各選手が団子状態で第1コーナーに殺到していった。



  ここでカメラが切り替わり、第1コーナーからツッチーさんの報告です。


  第1コーナーに殺到してきた選手たち。

  むむ・・

  インに入られたか?


 再び、パドックの上からの中継です。

う〜む、ゼッケン5番が前に出ている。

年間ランキングで、若ちゃんに次いで現在第2位の選手である。

油断できない相手だ。

しかし、カーブの多いテクニカルコースであるこの筑波サーキットは、若ちゃんにとって、庭のようなものだ。

抜き返す場所は、いくらでもある。

 来た!


  最初に帰ってきたのは、やっぱり若ちゃんだった。

  Opening Lapをとったぞ。


ホームストレートを疾走する若ちゃん




圧倒的な速さで駆け抜けていく

快調に周回を重ねていく。

2位との差はどんどん開いてきた。

いや、すごい!

圧倒的な差だね。

このまま行けば、優勝だ。

しかも、圧勝だ!
順調に周回を重ねている。

スゴイ、スゴイ、スゴイ!

2位以下とは、かなりの差がついているし、縮まる雰囲気がない。

パドックの上からは、第1ヘアピンから向こうは、ほとんど見えない。

1分ほどでコースを1週するが、ここ(パドックの上)から若ちゃんが見えている時間は、20秒もないはずだ。

今日は大丈夫だよね、序盤でこれだけ差がついているから。

そうは思っていても、やっぱり不安はある。


「・・・転倒した模様です」

ん?なに?

放送が良く聞こえない。誰か転倒したのか?

一瞬、胸が詰まるような感覚。

しかし、最終コーナーを立ち上がってくる赤いマシンが、すぐに視界に入ってきた。

大丈夫と思っていたけど、ほっとした。


若ちゃんの後ろに赤いフラッグが見える

でも、赤い旗が振られている。

赤旗って、何の意味だっけ?

「ツッチーさん、どういうことですか?」

と振り返っても、2元中継に出かけてしまっているのでここにはいない。

何なんだろう。

若ちゃんは、完全に減速している。

その視線の先は、コントロールタワー

やはり赤い旗だ・・・

途切れ途切れに、放送が聞こえてきた。

「第1ヘアピンで、・・・が転倒し、・・・路面を清掃する必要があり・・・」

「・・・レースの続行は不能と判断されることから・・・」

「・・・本レースは、中止となります。なお、・・・」

「繰り返します、」

何が起きたのだ?


「本レースは、中止となります。」










え?









「レースは、規定の周回に達していないため、完全にやり直しとなります。」

「20分後に、完全にやり直しのレーススタートとします。その間、ガソリンの・・・」




ちょっ。 ちょまっ。 ちょ待てよ!

(キムタクの真似をするホリのように、声に出して読んでみてください)


トップなんだぞ。それも、ダントツなんだぞ。

どういうことだよ。



このとき、若ちゃんの視線は、どこへ向けられていたのだろう・・・

いずれにしても、20分後に仕切りなおしだ。

大丈夫、もう一回やったって、トップになるんだから。

露天商さんの予言もあることだし・・・


つづく・・・

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再び予告を守れなくてごめんなさい。次回、いよいよ2004年の最終回!

と思ったけど、もう少し余韻に浸りたい管理人は、ツッチーさんの勧めもあり、延長戦を決めました。


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