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3 第4戦 富士スピードウェイ   〜 予選-2 〜



予選が始まって、4周ぐらい走っているだろうか。
始めのうちは、コースに出て行った順番どおりに現れるイメージだったが、周回を重ねるうちに、だんだんと順位が入れ替わってきた。
初期の頃のレース観戦では、若ちゃんの姿を探すことだけでも難しく、気がついたときには
「あ〜、通り過ぎてった・・・」
ということも少なくなかった。
そのため、少し前を走っている別のマシンをベンチマークとして、そこから+何秒のスプレッド、というようにして探していたものだ。







たとえば、今回であれば64番の黄色いマシンを目印にするところである。
もっとも、すぐに追い越してしまっていて、ベンチマークの役割を果たす時間は短かったが。
今は、かなり慣れているので、比較的容易に見つけることができるようになっており、以前のような苦労はなくなった。
しかし、他の選手との位置関係は、予選といえども気になるところ。
誰かの後ろを走っているよりも、先頭を走っている姿のほうが、応援隊としては見ていて嬉しくなるものなのだ。













15分間の予選の、半ばを過ぎた頃。
さっき通り過ぎてから、また時間を測って1分50秒。
そろそろだ、と思っていると、黄色い64番のマシンだけが現れた。
この64番の選手の前を走っているはずなのに、見落としたか。
また一周過ぎていったが、やはり赤い74番の姿は見えない。
ピットインしただけなのか。
それとも・・・
ハーレーのイベントのせいで、放送を制限しているのだろうか。
まったく状況が分からない。
不安がつのるなか、時間だけが過ぎていく。
その間、再び#64の古畑選手やTRICK☆STARの選手が通り過ぎていく。





いてもたってもいられないとは、まさにこのことだ。
じっとしていられず、とりあえず、少しずつ移動を始めた。
そして・・・
74番の赤いマシンがコースに戻ってきた。
はあ〜っ。
正直、ほっとした。
ピットに入ってタイヤ交換か、何かの調整だったのだろうか。








(写真:Tsuchy-san)

ヘアピンコーナーに陣取っていたツッチー隊長も、きっと心配していたことだろう。
それとも、このあたりでは放送がかかっていて、状況が分かっていたのだろうか。
いずれにしても、無事にコースに戻って、タイムアタックを行っている姿を見て、ホッと胸をなでおろしたに違いない。
あとは、残された時間の中で、1/1000秒でも速いタイムを出してくれることを祈るばかりだ。



ヘアピンコーナーの立ち上がり

(写真:Tsuchy-san)




フェンスが鬱陶しい


予選の残り時間も少なくなってきた。
現在、T-FLATがいる場所は、ダンロップコーナーのシケインから、ネッツ・コーナーの方に移動している。
ここからは、コースまでの距離がぐっと近くなる。
その代わり、安全のために高いフェンスにさえぎられることになる。
間近で、かつ、フェンスに遮られずに写すことができるのは、サーキットの許可を得たカメラマンに限られる。
サーキットごとに「PRESS」の証明は異なるが、自作して身につけたら分からないかな?(←軽犯罪です)
コスプレショップとかで、PRESSベストとか売ってないかな?
(↑これもいけないことです)


場所によっては、フェンスとフェンスの間に、ごくわずかな隙間がある。
うまく、そこに差し掛かった瞬間を撮れれば、フェンスに邪魔されない写真となるが、偶然の産物以外には期待できない。
おまけに、ピントを合わせるのが困難。
オートフォーカスでは、フェンスにピントを合わせようと勝手に動いてしまうため、AFが迷った挙句ピンボケしてしまう。
したがって、マニュアルで置きピンで臨むのだが、これがやはり滅多に当たらない。
それだけに、当たりが出ると、嬉しくなってしまう。
なんか、宝くじみたいだけど。

フェンスの隙間を狙うのはタイヘンなんです








途中、74番が現れなかったときは不安になったが、特に大きな問題もなかったようで、無事に予選は終了した。
静かになったサーキットは、富士の裾野の高原であることを思い出させてくれる。
足元を見るとシロツメクサがたくさん咲いている。
四葉のクローバーを探してみようかと思ったが、そんなにノンビリしていられない。
というほど、慌てる必要もないけれど、とりあえずガレージに戻るとしよう。
帰りは登りなので少々きついが、カメラを担いで歩き出す。
ぶらぶら歩いていると、アカツメクサも咲いているのに気づく。
昨日の雨をたっぷり含んで、とてもみずみずしい。


(写真:Tsuchy-san)


(写真:T-FLAT)

パドックに戻ると、レースを終えた若ちゃんとチームの皆さんの姿があった。
T-FLATは、その頃まだパドックへの帰路の途中である。
そして、パドック駐車場に差し掛かった頃、場内放送が聞こえてきた。
「ゼッケン74番の若松選手。至急、管理事務所までお越しください。」
なんだろう?
この時点ではまだ、あんなことが起ころうとは知る由もなかった・・・。


(写真:Tsuchy-san)




To be continued

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