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ゼッケン74番をつけた若ちゃんのマシンも、ピットレーンを駆け抜けていった。

15分間のタイムアタックが、これから始まろうとしている。


さあ、予選ラウンドのスタートだ


ピットレーンの向こうはメインストレートである。
そこで見たり、写真を撮ったりしてもいいのかな。
撮りたいな。どうかな?Takaさん、どうでしょう?
「邪魔にならなければ、怒られたりはしないと思いますよ」
かなり強引にOKしてもらった。
ダメとは言いにくいですよね、いつも無理を言ってごめんなさい。
すべてのマシンがコースに出て行ったあと、おそるおそるピットレーンを渡ってフェンスから顔を出す。
今出て行ったばかりだから、戻ってくるのは2分後だ。
まだ、スロットル全開では走っていないだろうから、2分10秒ぐらいかかるだろうか。
腕時計を何度も見ながら、若ちゃんのマシンが戻ってくるのを待っている。
いつもながら、緊張する瞬間だ。
各チームのピットクルーの方々も、サインボードやストップウォッチを手にしながら、自分達のチームの選手が戻ってくるのを待っている。
やはり緊張しながら、まるで時間の経過が音で聞こえるような思いをしながら待っているのだろうか。

富士の直線は長いのだ


長いメインストレートの向こう、最終コーナーの出口は、まだ薄い霧でかすんでいる。
2分経過。
まだか。
先にコースに出て行った一団がメインスタンド前に帰ってきた。
もう間もなく若ちゃんも帰ってくるはずだ。
来たぞ!
一人で興奮しながらも、おもむろにカメラを構える。



う〜ん、かなり遠いなあ。

さすがに1.5kmもあるストレートだ。

今いる場所はちょうど真ん中付近なのだが、それでも7〜800mは離れていることになる。

すでに200km/hは超えているのだろうか。このぐらいの距離があると、一応、落ち着いて構えていられる。



思いっきり手ブレとピンボケだけど、これしかないのです。



・・・と思ったら!
だんだん、若ちゃんの姿が大きくなってきたと思ったら、
そこからの速いこと。
速いのだ、本当に。(倒置法)
筑波のメインストレートとは格が違う。
筑波でさえ、真横の流し撮りはほとんど成功していないのに、とてもじゃないがここでは無理だろう。
フェンスの隙間から身を乗り出してカメラを構えているので、身動きがとりにくいし。
と言い訳がましいが、自由に動けたとしても、この至近距離ではフレームに入れることも難しそうだ。


あまりのスピードに呆然と立ち尽くしている間にも、爆音を立てながら次々とマシンが通過していく。

やはり間近で見るのはすごいや。



場所によって乾き始めているものの、路面はややウェットな状態が続いている。
たった15分間の予選だ。1周目からタイムアタックをするのだろうか。
バリバリ伝説では、エンジンの音を聞いて「この周はスーパーラップだ!」と分かるみたいだけど、僕にはまったく分かりましぇん。
バイクの一団が通り過ぎると、また静寂が訪れる。
腕時計を何度も見ては時間を確認する。もうすぐ2分経過。
バイクの一群が霧の向こうに現れた。再び、カメラを構えファインダーを覗きこむ。
400mmの望遠でも、小さくしか見えないが、どうやら國川選手のようだ。ということは、次の集団に若ちゃんがいるはずだ。
カメラを持つ手が汗ばんできた。先頭集団が、だんだん迫ってくる。


國川選手が通過して行ったが・・・。おかしいな。見逃したか?
一瞬だけ、サインボードで視界をさえぎられたため、その間に通り過ぎたのだろうか。
予選は15分だし7周程度のラップだ。1周見逃すと痛手が大きい。
まずいぞ・・・
メインストレートを2周ほど撮って、その後、コーナーワークを狙いにいく予定だったのだ。
次がラストチャンス。いや、もう少し撮るか。何度やっても冷静に臨むことは難しい。
迷っている間に、もうすぐ2分経過する。
さあ、今度こそ・・・。 やっぱり見つからない。


400mmのレンズでこの大きさにしか写らない




メインストレートでは追いきれないのかもしれない。
取り急ぎ、さっき目をつけておいたコーナーへ急ごう。
また、自転車を借りて、急いでこいでいく。
そこには、一足先にコーナーを狙っていた幸男パパさんが待っていた。
「ストレート狙ってたんですが見失ってしまって・・・」
「いえ、通っていないと思いますよ。
誰かが転倒したという放送があって。よく聞き取れなかったのですが、ひょっとすると・・・」
しばらく、待ってみるが、やはり現れない。
あ!と思うと、國川選手。
ピットに戻ってしまったのだろうか。
時間内にもう一度アタックできるだろうか。


(写真:Yukiopapa-san)


74番が見つからない・・・


どうやら、リタイアの可能性が高い。
転倒なのか、故障などのトラブルなのか分からないが、いずれにしてもコースへは復帰していないようだ。
こうなると、撮影隊のテンションもすっかり下がってしまうのだが、せっかく初めての富士SWだし、しかも幸男パパさんはレース撮影初参戦。
次戦の練習もかねて、若ちゃんと同じ忠男チームの國川選手を中心に、予選の模様を撮っていこう。



(写真:Yukiopapa-san)


(写真:Yukiopapa-san)


ちょっと撮影隊のうちわネタになりますが、幸男パパさんは、前述のとおり初めてのレース撮影。
しかし、バイクには高校の頃から接点があり(←微妙な言い回し?)、管理人なんかと比較にならないほど造詣も深い。
バイク好きの人が撮る写真というのは、やはりバイクが美しく見える角度を知っているというか、パッと見て格好いい写真になるんですね。
そして、レース中の撮影は、似たようなカラーリング、似たようなゼッケン番号に惑わされがちなところが、見分けるつぼを得ているのか、92番の國川選手をしっかりとフレームの中に納め続けている。
管理人の初めてのレース観戦(2004.6.6)とは、えらい違いなのである(うさ公さんと管理人は、2005.3.19のもてぎですら、青い41番を追いかけていたと言うのに・・・)





(写真:Yukiopapa-san)



(写真:Yukiopapa-san)



管理人も決して遊んでいたわけではなく、カメラを構えていたのだ。
なんといっても富士SWは、今シーズンあと2戦開催される予定だ。実戦の中での練習も必要だし、撮影スポットの確認としての意味もある。
ここは広いサーキットだが、焦点距離400mmであり、手ブレ補正機能もついているレンズなので、狙える場所の選択肢は多少広がる。
焦点距離の違いと画角の違い、トリミングの限界などは、あとがきで検証してみます。











おまけ



レースの写真って難しいけど、うまく撮れたときはその分喜びも大きい。宝くじに当たったぐらいの嬉しさだ。(←まぐれ、ってことかい)
走っているバイクは格好いいから、被写体としてとても魅力的である。
でも、やっぱり若ちゃんの応援団としては、若ちゃんの写真で、「うまく撮れた」「うわあ、ブレブレだ」みたいなのが楽しい。
だから、次のレースに僕らも期待をかけるのです。



To be continued

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次回最終回(ちょっとだけ)です。週末に更新しまーす。


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