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現れるべきはずの時間に、現れない。
どうしたのだろう。スローダウンしたのか?

しばらくしてコントロールタワーから放送が聞こえた。
「・・・選手が転倒した模様です。」
まさか・・・
「ゼッケン53番、若松選手が転倒したもようです」
「あ~」
思わず大きな声を出してしまった。
まずは、パドック上に戻ろう。

ここに写っているマシンのうち、何台かは明日の決勝でも話題となる

(写真:Usakoh-san)

(写真:Usakoh-san)



若ちゃんは既に戻っていて、Takaさんとマシンの状態をチェックしているようだ。
その後、予選1回目は、残り4分ということで再開されたが、若ちゃんはそのままパドックに戻っていった。




お偉いサンからのお言葉です。

(写真:Usakoh-san)



こういう時って、話し掛けていいものか、どうか。
とりあえず、遠くから様子をうかがってみた。
でも、やっぱり気になるから行ってみよう。
幸い、若ちゃんは怪我もなく、マシンのダメージも少ないようだった。
「タイムは上がってきているので、2回目は、もっといいタイムが狙えると思います。」
さすがっ!
若ちゃんの力強い言葉だった。予選の結果はまだ分からないが、きっと大丈夫だろう。
午後の予選2回目でさらにいいタイムを期待しよう。



ツッチーさんは所用により帰らなくてはいけないため、管理人とうさ公さんが後に残った。

「昼めし、どうしましょう?」


昨年の筑波ロードレース選手権のときには、サーキット内の店はいつもしまっていたが、さすがに今日は開けている。
ここでたこ焼きと焼きそばを頼み、軽く腹ごしらえして、レース観戦に戻る。

さて、予選の2回目はどうしようか。
せっかくだから、1回目の予選とは違う場所からがいいかな。
ということで、管理人とうさ公さんは二手に分かれて、観戦&応援&撮影することとした。
管理人は第1コーナーに、うさ公さんは芝生観戦席サイドのスタンドに、それぞれ向かっていった。
第1コーナーには「TEAM DESTINY脚立」(以下「スーパーのぼる君」という)を設置してもらっている。

流し撮りにあたっては、準備運動が必要。
ということで、ST600クラス A組の予選で撮影練習。
午前中の予選1回目ではA組の時間が2分短縮されたため、A組の予選2回目は2分上乗せされて17分で行われている。
撮影隊の練習時間も17分だ。

A組予選トップの手島選手

今回は苦戦した酒井選手。
しかし、チームのキャンギャルのレベルは高い



これも手島選手


(写真:Usakoh-san)

全日本選手権第1戦のwinner徳留選手
なんとなく、ゼッケンやカラーリングが似ててやっかいだ。

  (写真:Usakoh-san)



さて、いよいよB組の予選2回目がスタートだ。

ST600クラスは、タイヤ使用本数に制限があり、2日間で2セットしか使うことができない。
決勝に1セット残すとすると、予選2回目は午前中に使用したタイヤを使うことになり、タイムの伸びが期待しにくい。
したがって、予選1回目のタイムでほとんどグリッドが決まると言っていい。
この点について、若ちゃんに聞いたところ(まるで僕が知っていてインタビューしたようだが、もちろん、教えてもらったので知ったわけです)
「本当は新しいタイヤを履いて、予選通過を目指そうと思ったんです」
なにせ、36台しか予選通過できないのだ。
約半数が予選落ちとなる激戦区。
そういう選択もあるのだろう。しかし・・・
「監督から『明日の決勝のためにタイヤを残せ』と言われ、予選1回目で履いたタイヤを使うことになりました」
一度は新しいタイヤをセットしたが、監督の指示によって、元のタイヤに付け直したらしい。
監督は、若ちゃんの予選通過を確信していたのだろう。
そして、予選通過が微妙かもしれない、と弱気になりかけたところに、気合を入れなおす言葉でもあったのだろう。
やはり、指揮官の役割というものも大切なのである。

やや逆光だ。フレアのせいか、コントラストが低下している。

標準レンズでここまで迫れる。
「スーパーのぼる君」のおかげである。



(写真:Usakoh-san)

第1コーナーで、スーパーのぼる君の上からだと、すぐ目の前をマシンが通過していく。
A組の予選では、初め望遠レンズで構えていたが、近すぎて写せないことが分かった。
そこで、標準レンズに付け替えて、撮影に臨んでいる。
レース撮影を標準レンズで行えるとは思っても見なかった。

さて、その頃、うさ公さんはダンロップコーナーからMCコーナーを抜けていく若ちゃんを追っていた。
それにしても、「MCコーナー」の「MC」って何なんだろう?
知っている人がいたら、BBSで教えてくだされ。




しばらく第1コーナーでの撮影を続けた管理人は、

「ダンロップコーナーの方にも脚立で場所をとっていますよ」

というTakaさんの言葉を思い出した。

自転車がないので、移動に5分ぐらいかかってしまうだろう。

間に合うだろうか。

いや、躊躇している暇があったら走るしかない。

カメラとカメラバッグを抱えて走り出した。


Photo Gallery No.7

(写真:Usakoh-san)

うさ公さんは、引き続きMCコーナーを狙っている。

この場所からは、遠くに第2ヘアピンを望むこともできる。

しかし、さすがに、かなり長いレンズを使わなくては、まともに写しきれない。

もう少し筑波でのレース開催があれば、きっと400mmクラスのレンズを購入したと思われる。

ニコンにとっては惜しい客を逃したことであろう。

ダンロップコーナーに向かっている管理人は、いつもよりも観客が多いために、人にぶつからないように走るのも一苦労。

ヨタつきながらたどり着いたが、そこには何台もの脚立が置かれている。

「え~と、DESTINY、DESTINYっと」

TEAM DESTINYの文字を探しながら脚立を探したが見つからない。

「困ったなあ・・・」

いや、よく考えてみよう。第1コーナーのスーパーのぼる君の場所から考えればおのずと分かる。この近辺でのベストポジションを探すのだ。

あった!しかも、こっ、これは!

一番奥に鎮座していた。
ここからは、ダンロップからMCまで、長く追い続けられる。


見て見て!公認撮影隊なのさっ!


いやぁ、感激!

ここまでしてもらって・・・。写真の腕の方が追いついていくかな。

でも、ご期待に応えなければ!早速撮影開始だぜい。



夕日をあびてダンロップ・ブリッジを通過する。

Photo Gallery No.8

露出補正なしだがアンダー気味。



現在の時刻は、ちょうど午後4時。

太陽がやや傾いてきている。

ダンロップ・コーナーを向くと逆光。

ブリッジの下を通過するときは半逆光。

そして、MCコーナーは順光と、光の状態が変わっていく。


流し撮りしていくと、カメラの露出制御が追いついていかないこともあるようだ。

上の写真は、もう少し手前の明るいところの情報を元にF値を算出したようで、若干アンダー気味に出ている。
(ちなみに、管理人は、シヤッタースピード優先AEで撮影している)

でも、これはこれで結構いい感じ。

意図してはいなかったのだが、場面によっては、露出を切り詰めることで緊迫感を出すこともできる。

しかし、逆も起こりうると言うことだ。

ダンロップ・ブリッジの下の薄暗いところに露出をあわせてしまったカメラは、通過した後の被写体に、遅れた撮影情報を適用してしまう。

これじゃ、+1EVぐらいの露出オーバーだろう。



露出オーバーで、色のコクがなくなってしまった。

カメラの露出制御が信用できない、通常の補正の考え方が適用できない、ということになる。

それだけ速いスピードでマシンが走っているということか。

困ったものだが、これらの特性を考慮して撮影できるようになると、もっと幅が広がるのかな。

ある程度進むと、露出も安定する。


今回のお気に入り写真

Photo Gallery No.9




MCコーナーには、赤いパイロンが置かれている。

パイロンの形状は、もちろん三角錐。

先端はとがっている。

これが、流し撮りをすると、台形になるのだ。

カメラの液晶画面でチェックしているとき、

「何だ?この」台形の物体は?」

と驚いたものだ。


(写真:Usakoh-san)



Photo Gallery No.10

時間は刻々と過ぎていく。

どのくらいのタイムが出ているのだろう。

新しいタイヤではないから、苦戦しているのだろうか。

それとも、技術でカバーしてタイムを上げてきているのだろうか。

ハイレベルな全日本選手権では、どのくらいに位置しているのか見当がつかない。



減速して現れた




午後4時3分。

B組予選の2回目も終了したようだ。

スピードを落としたマシンが通り過ぎていく。

若ちゃんも、流しモードで現れた。


人事は尽くした。後は天命を待つだけだ。



ゆっくりとしたペースで前を通り過ぎていった。

もちろん、ゆっくりとは言ってもかなりのスピードではある。

残り半周を回ったら、そのままピットに戻るのだろう。

予選の結果は、パドックの掲示板に貼りだされるはずだ。

僕も急いで戻らなくちゃ。

パドックに向かって戻る途中、カメラを持った人たちの一群があった。

みなのカメラが向いている先を見ると、普段の筑波では決してお目にかかることのできないキャンギャルの姿があった。

思わず、足を止めて写真を・・・。いかん、いかん。

先を急ぐ身だ。

誘惑を振り切って、人だかりを後にした。





おおっ、すっげえ・・ コホン、失礼しました (^^ゞ


記念すべき59秒台。
実は、これよりも早いタイムを出していた・・・


パドックに着くと、チームの皆さんが集まっていた。

「お疲れ様でしたー」

皆の表情が、いつもよりも明るい感じ。いいタイムが出たのかな。

それもそのはず。なんと59秒台が出ていたのだ。

自己ベストを、この大舞台で更新してきた。

ただでさえ緊張するだろうに。しかも、午前中は転倒というアクシデントもあった。

只者ではないよ、やっぱり。

これなら予選も上位でクリアかな?

「予選2回目としては、いいトコ行ってると思うんですけど、総合では30番前後じゃないでしょうか」

え?

そっか、59秒台をだすだけじゃ足りないのね。

でも、すごいことに変わりはない。しかも、僕らの目の前でたたき出したタイムだ。

予選から見に来てよかったぁ。


掲示板に張り出された暫定結果
バイクの計測器に残っていたタイムよりも、8/1000秒いいタイムだった。


「明日も頑張ってください!」
パドックで皆さんと別れた後、しばらくして、暫定ではあるが、掲示板に予選総合結果が貼りだされた。
どれどれ・・・おおっ、27位で予選通過だ。
コレがどれだけすごいことかというと・・・
ちょっと見難いが31位の清水選手(アンビシャスレーシングチーム)は、昨年の東日本チャレンジカップのシリーズチャンピオン。
そして、38位の津田一磨選手は、今年の東日本チャレンジカップで現在ランキングトップの選手である。この津田選手は予選落ちなのだ。

若ちゃんが得意な筑波のコースだ。明日の決勝を楽しみにしながら、一日目を終えた。


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